会陰(腟の入り口と肛門のあいだ)の手術には、余った皮膚や傷あとだけを切る方法と、皮膚の下の筋肉までつなぎ直す「会陰形成術」があります[1][2]。見た目の皮膚だけが気になるのか、ゆるさや性交時の痛みもあるのかで、選ぶ方法が変わります[1]。どちらの方法も、大きな研究で比べられているわけではありません[3]。
皮膚だけ切る方法と会陰形成術、何が違う?
違いは、手を入れる深さです。皮膚を切る方法は、出っぱった皮膚や傷あとを切って、表面の形を整えます[1]。
会陰形成術は、余った皮膚を切ったうえで、出産で離れた会陰の筋肉をつなぎ直し、出産前の形に近づける手術です[2][3]。傷あとが性交時の痛みにつながっている場合に選ばれることがあります[1]。
出産のあと、会陰に皮膚の余りや傷あとが残るのはなぜ?
会陰の傷は、出産でとてもよく起こります。経腟分娩では、75〜85%の人に会陰の傷ができると報告されています[4]。多い報告では90%にのぼります[5]。
傷の治り方によっては、長く続く痛みや性交時の痛みが残ることがあります[5]。会陰切開が、気持ちのつらさや、体への自信のなさにつながるという報告もあります[4]。見た目の悩みも、体の不調と同じように相談してよいことです。
痛む傷あとは、手術の前に何を試す?
痛みがある場合は、まず手術以外の方法から考えることが多いです。ヨーロッパの指針では、体のリハビリ、ステロイドやPRPの注射、光をあてる治療、手術での修正が挙げられています[6]。
ただ、出産後の会陰の傷あとに絞った研究は少なく、この指針でもどの方法がよいかは決めきれていません[6]。薬などで良くならない痛みが続くときに、傷あとを修正する手術を考えてもよいとする意見が紹介されています[6]。
会陰形成術の効果は、どこまで分かっている?
効果の報告はありますが、研究の数と規模はまだ小さいです。腟の奥の筋肉を寄せる手術と会陰形成術を組み合わせた報告では、12か月後の満足度が93.3%でした[7]。
女性の外陰部の手術をまとめた報告でも、研究どうしのやり方がそろっておらず、人数も少ないと指摘されています[3]。皮膚だけを切る方法と会陰形成術を、同じ条件で比べた研究は見つかりませんでした。
傷の治りを左右するのは、何?
会陰の傷は、体の状態にも左右されます。会陰の手術の結果には、栄養状態、血糖のコントロール、喫煙、細菌、過去の手術、傷への圧迫などが関わるとされています[8]。
たばこを吸う人や糖尿病のある人は、手術の前に伝えておきましょう。座り方や下着で傷が押されないようにする工夫も、相談しておきたい点です[8]。
自分に合う方法は、どう決める?
目安は、何に困っているかです。
見た目の皮膚の出っぱりや傷あとが気になる:皮膚を切る方法が話題になります[1]
ゆるさや、筋肉が離れた感じもある:会陰形成術を考えます[2][3]
傷あとが痛む:手術以外の方法もあわせて相談します[6]
診察では、どこを確かめる?
どの方法が合うかは、記事だけでは決められません。皮膚の余り方、傷あとの硬さ、筋肉の状態は、実際に診ないと分からないからです。
診察では、どこまで切るのか、筋肉にも手を入れるのか、痛みが続いたときの対応、次の出産の予定があるときの考え方を確かめておきましょう。
- 1Williams Gynecology, 3rd ed. Benign Disorders of the Lower Genital Tract(会陰の瘢痕が性交痛に関わる場合に会陰形成術を選ぶ)/Chapter 45-25 Incision Closure(余った会陰の皮膚や腟上皮は、閉じる前に切除が必要なことがある).
- 2Grabb and Smith's Plastic Surgery. Chapter 59. Labiaplasty and Vaginal Rejuvenation(会陰形成術は、萎縮した皮膚を切除し、断裂した球海綿体筋と浅会陰横筋を再びつなぎ、産前の形に戻す).
- 3Buzzaccarini G, Degliuomini RS, De Rosa L, Villa S, Messina S, Siesto G. A road map through the multi-faceted world of female genital cosmetic surgical techniques. International Journal of Gynecology & Obstetrics. 2025. doi:10.1002/ijgo.16169
- 4Głoćko P, Janczak S, Nowosielska-Ogórek A, Patora W, Wielgoszewska O, Kozłowski M, et al. Perspective on Perinatal Birth Canal Injuries: An Analysis of Risk Factors, Injury Mechanisms, Treatment Methods, and Patients' Quality of Life: A Literature Review. Journal of Clinical Medicine. 2025. doi:10.3390/jcm14103583
- 5Schmidt P, Fenner DE. Repair of episiotomy and obstetrical perineal lacerations (first–fourth). American Journal of Obstetrics and Gynecology. 2023. doi:10.1016/j.ajog.2022.07.005
- 6Iliaens M, Van Elslander E, Baert E, Bauters E, Becu L, de Landsheere L, et al. Clinical guidance paper VVOG-CRGOLFB prevention and management of obstetrical perineal trauma. European Journal of Obstetrics & Gynecology and Reproductive Biology: X. 2025. doi:10.1016/j.eurox.2025.100416
- 7Wang K, Li F, Li Q, Wei L, Zhou Y, Cao Y. Transvaginal Posterior Levatorplasty Combined with Perineoplasty: An Effective Surgical Method for Vaginal Rejuvenation. Plastic and Reconstructive Surgery. 2024. doi:10.1097/prs.0000000000011023
- 8Grabb and Smith's Plastic Surgery. Chapter 111. Perineal Reconstruction(低栄養、血糖コントロール不良、喫煙、細菌汚染、化学療法、放射線治療、手術歴、創部への圧迫が結果に影響する).