シリコンバッグ豊胸で再手術につながりやすいのは、バッグの位置のずれ、被膜拘縮(バッグの周りの膜が硬く縮むこと)、そして「大きさを変えたい」という希望です。カナダの研究では2〜4年で約1割が再手術を受け、その理由の大半がこの3つでした。まれですが、バッグの表面の種類と関係するリンパ腫(BIA-ALCL)も知っておきたいリスクです。
再手術は、どのくらいの人に起きる?
数年で1割前後という報告があります。319人を2〜4年追ったカナダの研究では、30人(9.4%)が再手術を受け、再手術までの期間は平均1.2年でした[1]。
同じ研究では、89.3%(10人に9人ほど)が最初の手術におおむね満足していました[1]。満足していても、あとで手直しが必要になることはあると知っておくと、心づもりができます。
後悔の理由で多いのは?
位置のずれ、被膜拘縮、大きさの変更希望の3つです。先の研究では、再手術の理由は位置のずれが36.7%、被膜拘縮が33.3%、大きさや形を変えたいという希望が20.0%でした[1]。
教科書でも、豊胸の修正の理由として、被膜拘縮、位置のずれ、左右差、破損、大きさを変えたい希望、たるみ、波打ち(リップリング)、血液や液体がたまることが挙げられています[2]。「大きさを変えたい」は合併症ではないので、手術前に大きさと形のイメージを医師と具体的にすり合わせておくことが大切です。
胸が硬くなる被膜拘縮は、なぜ起こる?
体がバッグを異物として包み込む膜が、硬く縮んでしまうためです。シリコンバッグを入れると、体の異物への反応は必ず起こり、その結果として膜ができたり、被膜拘縮につながったりします[3]。
目に見えない細菌の感染や、シリコンのごく小さな劣化が、この反応を強めるのではないかと考えられています[4]。硬さや形のゆがみが強いときは手術で治しますが、そうでなければ急ぐ必要はないとされています[5]。
バッグの破損は、どのくらい起きる?
年月とともに増えます。シリコンバッグの破損は、10年で8.7〜24.2%と報告されています[6]。
614人を調べた研究では、わきの下のリンパ節にシリコンがたまっていたのが13.6%の胸で見つかり、破損したバッグや、入れてからの年数が長いことと関係していました[7]。症状がなくても、決められた画像検査を続けることがすすめられています[5]。
リンパ腫(BIA-ALCL)は、どのくらい心配すべき?
まれですが、バッグの表面の種類で危険度が変わります。研究をまとめた解析では、豊胸バッグを入れた人でのBIA-ALCLは1000人に0〜1人でした[8]。
報告の73%は表面がざらざらしたバッグ(テクスチャード)で、つるつるのバッグは3%でした[9]。症状がなく診断もついていない人は、予防のためにバッグを取り出す必要はないとされています[9]。
遅れて胸に液体がたまる、痛み、腫れ、皮膚の変化、しこりは、BIA-ALCLのサインのことがあります[2]。こうした変化に気づいたら、早めに医師に相談してください。
筋肉の下に入れると、何が起こりうる?
力を入れたときに胸の形が動くことがあります(アニメーション変形)。胸の筋肉の下に入れた場合に多く、筋肉の上に入れた場合はまれと報告されています[5]。
筋肉を動かしたときの痛みやけいれん、乳首の位置のずれを伴うこともあります[5]。気になる場合は、バッグを入れる層を変える手術などで対応します[5]。
受ける前に確認したいこと
判断の目安は3つです。1つ目は、仕上がりの大きさと形を具体的にすり合わせることです[1]。2つ目は、バッグの表面の種類と、入れる層です[5][9]。3つ目は、手術後の画像検査と、異変に気づいたときの相談先です[2][5]。
胸の皮膚や組織の厚さ、左右差は人によって違います。自分に合うバッグの大きさや入れる層は、診察で医師に確認してください。
- 1Khanna J, Mosher M, Whidden P, Nguyen S, Garzon D, Bhogal M. Reoperation Rate After Primary Augmentation With Smooth, Textured, High Fill, Cohesive, Round Breast Implants (RANBI-I Study). Aesthetic Surgery Journal. 2019. doi:10.1093/asj/sjy289
- 2Neligan Plastic Surgery, 5th ed., Vol.5 Breast. Preoperative assessment and planning of the aesthetic breast patient; Breast implant explantation(豊胸の修正理由: 被膜拘縮、位置のずれ、左右差、破損、大きさの変更希望、たるみ、波打ち、血腫・漿液腫。BIA-ALCLは遅れて出る液体貯留、痛み、腫れ、皮膚の変化、しこりとして現れうる)
- 3Dzobo K, Wilgus TA, Mora VZ, Zoncsich A, de Mezerville R, Khumalo N, Bayat A. Biomimetic optimization of silicone breast implant integration: insights into wound healing and the foreign body response. Frontiers in Bioengineering and Biotechnology. 2025. doi:10.3389/fbioe.2025.1668930
- 4Klietz ML, Yang S, Wiebringhaus P, et al. Complication Rates after Breast Surgery with the Motiva Smooth Silk Surface Silicone Gel Implants—A Systematic Review and Meta-Analysis. Journal of Clinical Medicine. 2023. doi:10.3390/jcm12051881
- 5Fanzio P, Hammer J, Van Laeken N. Recognizing and Managing Breast Implant Complications: A Review for Healthcare Providers Who Treat Women Who Underwent Breast Implant–Based Surgery. International Journal of Women's Health. 2025. doi:10.2147/IJWH.S501800
- 6Lampert JA, Townsend AN, Shah S, Bouz A, Nichols N. Safely Shaping the Breast After Implant Removal and Total Intact Capsulectomy Using the Mammary Imbrication Lift and Fixation Technique. Aesthetic Surgery Journal Open Forum. 2023. doi:10.1093/asjof/ojad037
- 7Rosenthal A, Goldbart Nahmias A, Heller L, Hadad E. Silicone Lymphadenopathy Following Augmentation Mammoplasty With Silicone Implants. Aesthetic Surgery Journal. 2024. doi:10.1093/asj/sjae113
- 8Elameen AM, AlMarakby MA, Atta TI, Dahy AA. The Risk of Breast Implant-Associated Anaplastic Large Cell Lymphoma; A Systematic Review and Meta-Analysis. Aesthetic Plastic Surgery. 2024. doi:10.1007/s00266-024-03956-9
- 9Muntean M, Ilies RA, Pop IC, Urian L, Vlad IC, Achimas-Cadariu P. Unveiling the Controversy: A Literature Review on the Link Between Textured Implants and Breast Implant-Associated Anaplastic Large Cell Lymphoma (BIA-ALCL). Journal of Clinical Medicine. 2025. doi:10.3390/jcm14113902