ピコシュアの照射方法は、ねらう悩みで選び分けます。シミやあざのように色の濃い点には色をねらう照射、ニキビ跡や肌のきめには、肌の中に細かな刺激を点状に入れるフォーカス照射が研究されています[1][2]。肝斑は効果の報告がある一方、長く経過を見た研究がまだ足りません[3]。
ピコ秒レーザーは、従来のレーザーと何が違う?
違いは、光を当てる時間がとても短いことです。熱で焼くより衝撃で色素を細かく砕く働きが強く、太田母斑というあざでは従来のQスイッチレーザーと同じかそれ以上の成績が得られる可能性があると、形成外科のガイドラインに書かれています[3]。
顔の色素の悩みで比べた研究では、改善率がピコ秒レーザーで56%、従来型で38%でした[4]。一方、カフェオレ斑というあざでは69%と55%で、はっきりした差は出ませんでした[5]。どちらもピコシュアとは別の機種や波長を含む研究なので、目安として見てください。
シミやあざには、どの照射を選ぶ?
シミやあざには、色の濃い部分をねらって当てる照射が基本です。日光によるシミ(老人性色素斑)には、レーザーや光の治療が強く勧められています。ただし、長期の結果や他の治療との比較はまだ十分ではありません[6]。
気をつけたいのは、照射後に一時的に色が濃くなる炎症後色素沈着です。従来型のアレキサンドライトレーザーでは、老人性色素斑の治療後に47〜64%で起こったとされています[3]。ピコ秒レーザーでは、赤みや色素沈着が続く期間が短い傾向があると報告されています[3]。
頬に左右対称に出る後天性のあざでは、従来型のレーザーで5〜15回ほどの治療が必要で、色素沈着が12.5〜75%に出たという報告があります[7]。あざの種類によって回数の見通しが大きく変わるので、まず何のシミなのかを見極めることが大切です。
ニキビ跡や肌のきめには、何が向く?
ニキビ跡や肌のきめには、フォーカス照射(回折レンズを使う方法)が研究されています。強いエネルギーの小さな点のまわりを、弱いエネルギーの範囲が囲む形で光が届き、肌の中のコラーゲンが作り直されるきっかけになると考えられています[2]。
ニキビ跡の治療をまとめた報告では、この方法はなだらかに広がるタイプのへこみに使われ、まわりの肌の色やきめも整ったとされています[1]。深く鋭いへこみには、別の治療との組み合わせが話題になることもあります。
肝斑やタトゥーでは、どこまで期待できる?
肝斑には、ピコ秒レーザーの効果を示す報告があります。ただ、十分な期間にわたって経過を見た研究が不足していると、ガイドラインは注意を促しています[3]。
タトゥーでは、ピコ秒のほうが早く消えるという研究と、差がないという研究の両方があり、結論はまだ出ていません[8]。どちらの悩みも、回数や見通しを最初に医師と共有しておくと、途中で迷いにくくなります。
自分に合う照射は、診察で何を見て決める?
決め手は、悩みの正体です。同じ「シミ」に見えても、老人性色素斑、肝斑、あざでは向く照射や回数が変わります。
診察では、シミの種類、ニキビ跡のへこみの形、日焼けや色素沈着の起こりやすさを見てもらいましょう。そのうえで、照射の種類と回数、照射後の赤みが引くまでの過ごし方を医師に相談して決めるのが確実です。
- 1Bhargava S, Cunha PR, Lee J, Kroumpouzos G. Acne Scarring Management: Systematic Review and Evaluation of the Evidence. American Journal of Clinical Dermatology. 2018. doi:10.1007/s40257-018-0358-5
- 2Ren R, Bao S, Qian W, Zhao H. 755-nm Alexandrite Picosecond Laser with a Diffractive Lens Array or Zoom Handpiece for Post-Inflammatory Hyperpigmentation: Two Case Reports with a Three-Year Follow-Up. Clinical, Cosmetic and Investigational Dermatology. 2021. doi:10.2147/CCID.S323872
- 3日本形成外科学会ほか 形成外科診療ガイドライン1(2021)CQ19・CQ42・CQ44(ピコ秒レーザーは光音響作用で組織破壊効率が上がり、太田母斑でQスイッチレーザーと同等以上の成績の可能性があり、一過性の紅斑と色素沈着の持続は短い傾向。肝斑への有効性は示されているが十分な経過観察期間をとった研究が不足。Qスイッチアレキサンドライトレーザーは老人性色素斑に高い有効性を認めるが炎症後色素沈着の発生率が高い(47〜64%)。ピコ秒レーザー(532nm)の老人性色素斑への研究は不足)
- 4Lin G, Zhao R, Guo C. Comparing the efficacy and safety of a 730-nm picosecond laser with a 532-nm Q-switched Nd:YAG laser for facial pigmented disorders: a retrospective comparative study. European Journal of Medical Research. 2026. doi:10.1186/s40001-026-04099-0
- 5Cen Q, Gu Y, Luo L, Shang Y, Rao Y, Zhu J. Comparative Effectiveness of 755-nm Picosecond Laser, 755- and 532-nm Nanosecond Lasers for Treatment of Café-au-Lait Macules (CALMs): A Randomized, Split-Lesion Clinical Trial. Lasers in Surgery and Medicine. 2021. doi:10.1002/lsm.23316
- 6日本美容外科学会 美容医療診療指針 CQ1-1-1(日光黒子〔老人性色素斑〕の治療にレーザーおよび光治療は有効だが、長期の検討や他の治療法との比較は十分ではない。推奨度1、強く推奨)
- 7Han R, Sun Y, Su M. Efficacy and Safety of 730-nm Picosecond Laser for the Treatment of Acquired Bilateral Nevus of Ota-like Macules. Dermatologic Surgery. 2025. doi:10.1097/DSS.0000000000004545
- 8Ma G, Han Y, Huang L, Shang Y, Lin X, Wu P. 755-nm Picosecond vs. Nanosecond Alexandrite Lasers for Tattoo Removal: A Randomized, Split-Tattoo Clinical Trial. Plastic & Reconstructive Surgery. 2026. doi:10.1097/PRS.0000000000012958