目の下のふくらみだけなら、脂肪を取る「脱脂」で足ります。ふくらみの下にくぼみ(涙溝)もある場合は、脂肪を取らずに溝へ移す方法か、別の部位の脂肪を足す方法が候補になります[1][2]。どちらが優れているかを直接比べた質の高い研究はまだなく、選び方は目の下の形で決まります[3]。
3つの方法は、何が違う?
脱脂は脂肪を取り除く手術、脂肪移動は脂肪を取らずに溝へ動かして留める手術、脂肪注入は太ももやお腹などから採った脂肪を溝に入れる手術です。総説では、従来の脱脂に加えて、眼窩の脂肪を溝側へ動かしてくぼみを直す方法が近年の流れだと整理されています[1]。脂肪を移す方法も注入する方法も、ふくらみを消すと同時に溝を埋める点は共通で、それぞれに長所と短所があると報告されています[3]。
脱脂だけで足りるのは、どんな目の下?
皮膚の余りが少なく、ふくらみが主で、その下にくぼみがない方です。教科書では、皮膚のたるみがほとんどない方の脂肪除去に向き、弱点は脂肪の取り残しと表面のしわを直せないことだと書かれています[4]。逆に、くぼみのある方に脂肪を取るだけの手術をすると、溝が直らないうえに、目の下がこけて見えることがあると報告されています[2]。
脂肪を移す方法は、どこが難しい?
難しさは、狭い視野の中で脂肪を正しい位置に留めることです。まぶたの裏側から溝の靭帯を切り離したあと、脂肪を正確に配置するのは視野が限られるため難しいと報告されており、誘導針を使って配置しやすくする工夫が発表されています[5]。26人を6か月追ったこの報告では、感染や外反、眼窩の出血、視力の低下はなく、軽い左右差が1人、一時的に物が二重に見える症状(複視)が2人にあり、1週間以内に消えました[5]。
留め方も結果に影響します。127人を比べた研究では、移した脂肪を皮膚側の糸で留めた群では強い皮膚の変色が42.85%に出たのに対し、糸を使わず接着剤(フィブリン糊)で留めた群では0でした[6]。強い内出血のあざも71.42%から36.36%に減っています[6]。これはさかのぼって調べた研究で、どちらの留め方を使うかは施設によります。
脂肪を足す方法は、どんな人に向く?
溝が深く、動かせる脂肪が足りない方です。若い中国人を対象に、脱脂と脂肪の細かい注入(ナノファット)を組み合わせた報告では、41.0%が「とても満足」、54.6%が「満足」と答え、満足度が低かったのは4.4%でした[3]。合併症では、白目の一時的な充血が2.7%、溝の埋め足りなさが2.7%、小じわの増加が5.5%にありました[3]。注入した脂肪がどれだけ残ったかは測られておらず、脂肪を移す方法と直接比べた研究が必要だと著者ら自身が書いています[3]。
手術以外の方法はある?
溝が浅い方には、注入剤で溝を埋める方法や、ボツリヌス毒素の皮内注射も報告されています。ヒアルロン酸は手術なしで長く持ちますが、永久ではありません[7]。軽い溝の42人にボツリヌス毒素を注射した研究では、溝と小じわの指標が改善しましたが、手術と直接比べたものではありません[8]。ふくらみが大きい方は、注入で埋めても隠れないことがあるため、手術との違いを診察で聞いておくと迷いが減ります。
自分の目の下は、どう見分ける?
見分けの軸は、ふくらみ、くぼみ、皮膚の余りの3つです。ふくらみだけなら脱脂、ふくらみとくぼみがあれば脂肪を移す・足す方法、皮膚の余りが多ければ皮膚側からの手術という整理が、総説と教科書の考え方です[1][4]。ただ、脂肪が多すぎる方に脂肪を移す方法をそのまま使うと頬が膨らみすぎることがあり、一部を切り取りながら移す調整も報告されています[9]。
診察では、自分がどの型に近いか、脂肪を取る量と移す量をどう決めるかを聞いてみてください。答えが一般論でなく自分の目の下に当てはまっていれば、納得して選びやすくなります。
- 1Bhattacharjee K, Ghosh S, Ugradar S, Azhdam AM. Lower eyelid blepharoplasty: An overview. Indian Journal of Ophthalmology. 2020. doi:10.4103/ijo.IJO_2265_19
- 2Zhang Q, Min F, Xia H, et al. Minimally invasive buried guidance combined with stable orbital septal fat fixation for correction of tear trough-associated lower eyelid bags: application and outcomes. Frontiers in Medicine. 2025. doi:10.3389/fmed.2025.1672397
- 3Liu C, Wu Z, Tang L, Zhang Z, Li J, Sun X. A Combination of Conventional Transconjunctival Lower Blepharoplasty and Percutaneous Nanofat Grafting in a Young Chinese Population With Eyelid Bags and Tear Trough Deformities. Journal of Cosmetic Dermatology. 2025. doi:10.1111/jocd.70009
- 4Handbook of Plastic Surgery. Chapter 108. Blepharoplasty and Periorbital Aesthetics.
- 5Wu K, Hou J, Chen J, et al. Guiding Needle-Assisted Redistribution of Orbital Fat in Transconjunctival Lower Eyelid Blepharoplasty. Journal of Cosmetic Dermatology. 2025. doi:10.1111/jocd.70446
- 6Kikuchi R, Meeprasertsagool K, Rojdamrongratana D, Kashima T. A comparison of fibrin glue versus suture for anchoring fat pedicles in transconjunctival lower eyelid blepharoplasty. JPRAS Open. 2025. doi:10.1016/j.jpra.2025.01.018
- 7Anido J, Fernández JM, Genol I, Ribé N, Pérez Sevilla G. Recommendations for the treatment of tear trough deformity with cross-linked hyaluronic acid filler. Journal of Cosmetic Dermatology. 2020. doi:10.1111/jocd.13475
- 8Zhou S, Liu H, Pan Z, et al. Observation of Safety and Efficacy of Botulinum Toxin Type A in the Treatment of Tear Troughs and Mild Eyelid Bags. Journal of Cosmetic Dermatology. 2025. doi:10.1111/jocd.70253
- 9Li W, Gao Y, Qi Z, Li Z, Wu F. Refined trimming of orbital fat in transconjunctival lower blepharoplasty: A retrospective cohort study on clinical outcomes and aesthetic assessment. Medicine. 2025. doi:10.1097/MD.0000000000045314