GLP-1ダイエットの薬には、毎日注射するリラグルチド、週1回注射するセマグルチド、毎日飲むセマグルチド、2つのホルモンに働くチルゼパチドなどがあり、種類と量で体重の減り方が変わります[1][2]。肥満の人の試験を合わせた分析では、チルゼパチドの多い量がいちばん減りやすい一方、量が多いほどおなかの副作用とやめる人も増えていました[3]。どれが合うかは、減らしたい幅、持病、注射が苦手か、続けられるかで変わります[3]。
毎日の注射と週1回の注射、何が違う?
違いは、薬が体の中で働き続ける長さです。体の中で半分に減るまでの時間は、リラグルチドが13時間ほど、セマグルチドが7日ほどです[1]。そのため、リラグルチドは毎日、セマグルチドは週1回の注射になります[1]。
チルゼパチドは、GLP-1に加えて、GIPという別の腸のホルモンにも働く薬です[1]。この2つに働く仕組みが、体重の減りやすさにつながると考えられています[3]。
体重の減り方は、薬と量でどのくらい違う?
差を生むのは、薬の名前より量のほうが大きいこともあります。糖尿病のない肥満の人の試験を合わせた分析では、偽薬(有効成分の入っていない薬)より多く減った体重の割合は、チルゼパチド15mgで18.08%、10mgで14.93%、セマグルチド2.4mgで11.78%、チルゼパチド5mgで11.49%でした[3]。
つまり、チルゼパチドでも少ない量なら、セマグルチド2.4mgと同じくらいでした[3]。糖尿病のある人の研究では、セマグルチドはリラグルチドより平均6.08kg多く、チルゼパチドはセマグルチドより3.78kg多く減っていました[4]。
ただし、薬どうしを直接比べた試験はまだ少なく、どれがいちばんかは決めきれないとされています[3][4]。
実際の診療でも、試験と同じくらい減る?
試験よりは小さくなることが多いです。試験では体重が5〜18%減っていますが、実際の診療ではやや小さいと報告されています[5]。
実際の診療の記録で6か月を比べると、チルゼパチドで7.0%、セマグルチドで3.4%減っていました[6]。ただし糖尿病のある人では、2つの薬の差ははっきりしませんでした[6]。
リラグルチドを使った1009人の記録では、体重が5%以上減った人が76.4%、10%以上減った人が40.9%でした[7]。
飲み薬は、注射と比べてどう?
注射が苦手な人の選択肢になりますが、減り方は控えめです。糖尿病のない93人が飲み薬のセマグルチド14mgを1年続けた研究では、続けた人の体重は平均5.7%(5.9kg)減っていました[2]。
減り方は人によって大きく違い、この14mgはもともと糖尿病の治療で登録された量です[2]。研究では、チルゼパチドや注射のセマグルチド2.4mgより減り方が小さいと考えられています[2]。
副作用と続けやすさは、どう違う?
どの薬でも多いのは、吐き気などおなかの症状です[4][7]。量が多いほど、おなかの副作用と、副作用でやめる人が増えていました[3]。
リラグルチドの1009人の記録では、48%に何らかの副作用が出ていました[7]。膵炎(すい臓の炎症)や腸の詰まり、胆のうの炎症などの重い副作用は1%未満でした[7]。やめた理由でいちばん多かったのは、副作用ではなく薬代(42.6%)でした[7]。
減った体重を保つには、薬を続ける必要があります。やめると体重はゆっくり戻り、実際には1年以内に半分から3分の2の人がやめていたと報告されています[8]。
手術や麻酔の予定がある場合は?
GLP-1の薬は、胃から食べ物が出ていくのを遅らせます[1]。そのため、麻酔をかける手術や処置の前には特別な注意が必要とされ、専門の学会などが対応の目安を出しています[1]。
美容外科の手術などを予定している人は、GLP-1の薬を使っていることを、手術を受ける医師に必ず伝えてください。
自分に合う薬は、診察で何を確かめる?
効き目と副作用のバランスを、本人の希望や持病に合わせて医師と一緒に決めることがすすめられています[3]。確かめたいのは、目標の減らし幅、持病と飲んでいる薬、注射か飲み薬か、どのくらいの期間と費用で続けられるかです。
ここで紹介した数字は、主に肥満や過体重の人の研究です[3][6]。少しだけ体重を落としたい人に同じ結果が出るとは限らないので、体の状態を診てもらったうえで決めましょう。
- 1Doroba O, Czupryniak L, Sanfilippo F, Andruszkiewicz P, Zawadka M. New therapeutic agents for type 2 diabetes: anaesthetic considerations. A narrative review. Anaesthesiology Intensive Therapy. 2025. doi:10.5114/ait/208895
- 2Krajnc M, Kuhar N, Koceva A. Oral semaglutide for the treatment of obesity: a retrospective real-world study. Frontiers in Endocrinology. 2025. doi:10.3389/fendo.2025.1593334
- 3Kasagga A, Rebellow D, Hashmi T, Husami MY, Lama P, Arul Selvan K, Nakasagga K. Comparative Efficacy and Tolerability of Tirzepatide Versus Semaglutide at Varying Doses for Weight Loss in Non-diabetic Adults With Obesity: A Network Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. Cureus. 2025. doi:10.7759/cureus.90335
- 4Wen J, Nadora D, Bernstein E, How-Volkman C, Truong A, Akhtar M, Prakash NA, Puglisi J, Frezza E. Semaglutide Versus Other Glucagon-Like Peptide-1 Agonists for Weight Loss in Type 2 Diabetes Patients: A Systematic Review and Meta-Analysis. Cureus. 2024. doi:10.7759/cureus.69008
- 5Mozaffarian D, Agarwal M, Aggarwal M, Alexander L, Apovian CM, Bindlish S, et al. Nutritional priorities to support GLP-1 therapy for obesity: a joint Advisory from the American College of Lifestyle Medicine, the American Society for Nutrition, the Obesity Medicine Association, and The Obesity Society. The American Journal of Clinical Nutrition. 2025. doi:10.1016/j.ajcnut.2025.04.023
- 6Trinh H, Donovan A, McAdam-Marx C. Real-world effectiveness of tirzepatide versus semaglutide for weight loss in overweight or obese patients in an ambulatory care setting. Diabetes, Obesity and Metabolism. 2025. doi:10.1111/dom.16343
- 7Hepşen S, Haymana C, Cavnar Helvacı B, Durantaş H, Toros B, Çakmak R, et al. Comprehensive analysis of real-world data on liraglutide treatment in patients with obesity: a multicenter national study. European Journal of Medical Research. 2025. doi:10.1186/s40001-025-02836-5
- 8Barrett TS, Hafermann JO, Richards S, LeJeune K, Eid GM. Obesity Treatment With Bariatric Surgery vs GLP-1 Receptor Agonists. JAMA Surgery. 2025. doi:10.1001/jamasurg.2025.3590