糸リフト、医師選びで見るのはどこ?聞いておく質問

先に確かめておきたいのは、思うようにいかなかったときの対応です。ある美容外科グループが自院の342人を見直した観察では、皮膚のへこみが11.7%、糸に触れる感じが2.3%、一時的な左右差が0.9%の方に起きたと報告されています。

先に確かめておきたいのは、思うようにいかなかったときの対応です。ある美容外科グループが自院の342人を見直した観察では、皮膚のへこみが11.7%、糸に触れる感じが2.3%、一時的な左右差が0.9%の方に起きたと報告されています[1]。起こりうる前提で、誰がどう診てくれるのかを聞いておくと、選ぶ基準がはっきりします。

どんなトラブルが、どのくらい起きている?

多いのは皮膚のへこみで、糸に触れる感じや一時的な左右差が続きます。342人の観察では、へこみが40人(11.7%)、糸に触れる感じが8人(2.3%)、一時的な左右差が3人(0.9%)でした[1]。同じ集計では、感染や神経の傷といった重いものは見られていません[1]。ただしこれは一つのグループのデータで、どの施設にもそのまま当てはまる数字ではありません[1]。

症例数の多さは、そのまま安全さになる?

そこは切り分けて考えてください。11万件を超える多施設の集計はありますが[1]、術者が何件こなすと合併症がどれだけ減るのか、その量的な関係を示したデータは見当たりません。同じ報告では、50歳を超える方で合併症のリスクが上がり、長く見たときの満足度が下がると述べられています[1]。件数より、自分の年齢や状態でのリスクを数字で説明できるかを見るほうが役に立ちます。

解剖を分かっている医師か、どこで分かる?

危ない場所と、そこを避ける道具の話ができるかどうかです。出血が多くその場の処置が要る場合があること、顔面神経の枝を傷つけると一時的あるいは持続的な麻痺につながることが指摘されています[2]。先の鈍い管(カニューレ)を使い、解剖の研究で分かっている安全な範囲を守ることが、その対策として挙げられています[2]。針よりカニューレを選ぶ穏やかな手技をすすめる報告もあります[3]。

まれな例も知られています。あご下の領域への施術のあと、舌咽神経が圧迫されて血圧が上がった症例が報告されており、これまで知られていなかった合併症として注意が呼びかけられています[4]。頻度は高くありませんが、こうした報告を把握している医師かどうかは、質問への答え方に出ます。

満足できなかった人には、何が共通していた?

年齢と、入れた本数です。PDO糸のリフト後に不満を持った方を調べた多施設の解析では、43歳以上の方と、10本を超えて入れた方が「効果が足りない」と感じて再受診しやすいと分かりました[5]。本数を増やせば満足が増えるとは限らない、という読み方ができます[5]。何本を、どこへ、どんな向きで入れる計画なのかは、事前に聞いておきたいところです。

起きたあとの対応まで、聞けている?

対応の幅を持っているかどうかで差が出ます。合併症をまとめた報告では、超音波で見ながらの処置や、重い場合には外科的な処置が必要になることがあると述べられています[3]。糸そのものも留置後に厚みが変わることが超音波の評価で示されており、時間とともに状態が変わる前提の説明が要ります[6]。口の中まで貫いてしまうような予期しない事態も含めて、先に伝えておく姿勢が大切だと指摘されています[7]。

診察で確かめておくこと

糸のリフトは、返しの付いた糸を皮膚から刺し入れて顔や首の軟らかい組織を持ち上げる、負担の軽い手技として教科書に載っています[8]。研究の質という面では、症例数が少なく観察期間も短い報告が多く、客観的な評価が足りないという指摘が系統的レビューで示されています[9]。確からしさに幅がある領域なので、説明の細かさがそのまま施設の姿勢になります。

診察では、自分の年齢と状態でどのリスクがどれだけ上がるのか、腫れやへこみが出たときに誰がいつ診るのか、次の受診はいつなのかを確かめてください。答えが「大丈夫です」だけで止まるようなら、もう一歩踏み込んで聞いてみるほうが安全です。

もう少し詳しく聞いてみる