切開フェイスリフトの血腫と神経のまひ、術式でどう変わる?

切開フェイスリフトで最も多いトラブルは血腫(皮膚の下に血がたまること)で、11,300例を集めた解析では血腫が1.1%、合併症全体で1.8%と報告されています。術式ごとに見ると血腫も一時的な神経のまひも数字が動きますが、いずれも数%に満たない範囲の違いです。

切開フェイスリフトで最も多いトラブルは血腫(皮膚の下に血がたまること)で、11,300例を集めた解析では血腫が1.1%、合併症全体で1.8%と報告されています[1]。術式ごとに見ると血腫も一時的な神経のまひも数字が動きますが、いずれも数%に満たない範囲の違いです[2]。だから術式選びは「どれが危ないか」より、起きたときにどう対応するかで考えるほうが役に立ちます。

合併症は、どのくらいの頻度で起きる?

全体では2%に届きません。11,300例のデータを解析した報告では、合併症全体が1.8%、内訳として血腫が1.1%、感染が0.3%でした[1]。

ただし、これは術式をまとめた全体の数字です[1]。自分が受ける方法での数字を知りたいなら、術式別に分けた解析を見る必要があります。

術式で、神経のまひの数字はどう違う?

深い層を扱う方法で少し高くなります。183の研究をまとめた解析では、一時的な神経の損傷が、高い位置でSMAS(皮膚の下にある筋膜の層)を持ち上げる方法で1.85%、コンポジットと呼ばれる方法で1.52%でした[2]。SMASを折りたたんで縫う方法と比べて統計的な差が出たのは、この2つだけです(オッズ比2.71と2.22、いずれもp<0.05)[2]。

実際の頻度は2%に届きません。深い方法は避けるべきだという話ではなく、得られる引き上げの大きさと見比べる材料になります。

血腫が増えるのは、どの術式?

深い層で剥がす方法と、SMASを一部切り取って縫う方法です。同じ解析で、大きな血腫はディーププレーンで1.22%(オッズ比1.67、p<0.05)、SMASの一部切除縫合で1.92%(オッズ比2.65、p<0.01)と、折りたたみ縫合より有意に多く出ました[2]。

血腫は手術室を出たあとに起きることがあります。帰宅の時期や、当日の連絡先をどうするかまで聞いておくと安心です。

まひは残る?防ぐ手立てはある?

永久的な損傷では術式間の差が出ていません。183研究の解析は、永久的な神経の損傷について術式による有意差はなかったと報告しています[2]。教科書は、SMASの一部を切り取って縫う方法のほうが、折りたたむだけの方法より神経損傷の危険を減らしうると記しています[3]。

血腫のほうは、予防できる要素がはっきりしています。教科書は、血腫がフェイスリフトで最も多い合併症であり、術後の高血圧が最大の危険因子だと述べています[3]。血圧の管理を含めた予防策については、対策をまとめた解析も行われています[4]。血圧が高めの人は、術前からの管理を相談しておいてください。

数字を比べるときの落とし穴

順位づけは、まだ確定していません。2025年に登録された研究計画書は、183研究の解析を記述的なまとめであって術式を比較解析したものではないと位置づけ、順位づけの解析をこれから行うと述べています[5]。

SMASを扱う方法とディーププレーンを比べたレビュー[6]や、両者を前向きに追いかけた研究[7]も進んでいます。いまの数字は途中経過だと考えてください。「最新の術式だから合併症が少ない」という説明には、根拠の出どころを聞いてみる価値があります。

診察で確認したい4つのこと

1つ目は、SMASを折りたたむのか、一部切除するのか、深い層で剥がすのかです[2]。2つ目は、その施設での血腫の頻度と、起きたときの対応です[1]。3つ目は、自分の血圧の管理をどうするかです[3]。4つ目は、一時的なまひが出た場合にどのくらいで戻る見込みかです[2]。

たるみの強さ、皮膚の厚さ、首の状態で、選べる術式の幅は変わります。合併症の数字は集団の平均で、自分に起きることを示すものではありません。診察では、たるみがどの層まで及んでいるかと血圧の状態を確認したうえで、どの術式で何を優先するのかを一緒に決めてください。

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