糸のリフト、たるみはどこまで上がる?効果と限界

糸のリフト(スレッドリフト)は、細かい返し(コグ)の付いた溶ける糸を皮膚の下に通して、たるみを引き上げる方法です。傷が小さく回復も早い一方、引き上げられるのは皮膚と皮下の層までで、効果の大きさも持続も限られます。

糸のリフト(スレッドリフト)は、細かい返し(コグ)の付いた溶ける糸を皮膚の下に通して、たるみを引き上げる方法です[1]。傷が小さく回復も早い一方、引き上げられるのは皮膚と皮下の層までで、効果の大きさも持続も限られます[2]。日本のガイドラインも、一時的な改善は期待できるが効果は大きくなく持続は短いとして、弱い推奨にとどめています[3]。

糸で引き上がるのは、どの層まで?

皮膚と、そのすぐ下の層までです。糸は皮下の層に置くのが基本で、よく動く場所に入れると飛び出したりずれたりしやすく、表情の動きが糸の固定を妨げて効果が短くなると報告されています[4]。総説では、皮膚と皮下だけを引き上げても十分な持続は得られず、外科的に持ち上げた皮膚でさえ早めにゆるんでくると指摘されています[2]。糸で引いた皮膚はその下の筋膜(SMAS)に付いたまま元の位置へ戻りやすく、強く引きすぎればかえって合併症の原因になります[2]。

教科書にも、重い組織を支える皮膚は時間とともに伸びて、フェイスリフトの効果が失われていくと書かれています[5]。糸だけで土台から引き上げるという発想には、もともと無理があります。

効果はどのくらい続く?

半年から1年ほどが目安で、人による幅が大きい範囲です。溶ける糸(PDO)が分解される過程に合わせて効果が最長で1年程度まで延びうるとされますが、実際に感じる効果の幅は大きく違うと報告されています[4]。PDO糸とボツリヌス毒素を併用した10人の報告では、4か月後に90%が肌の質感と明るさの改善を答えていますが、これは引き上げそのものの評価ではありません[6]。ヒアルロン酸との併用については、1年と2年の時点で評価した前向きの研究があります[7]。

ガイドラインは何と言っている?

「一時的な改善は期待できるが、効果は大きくなく持続も短いため、十分な説明が必要」として、推奨度は2(弱く推奨)に置かれています[3]。これは糸のリフトを否定する記述ではなく、期待値を切る手術と同じ高さに置かないでほしい、という趣旨です。休みの短さと引き換えに、効果の大きさと長さを譲る選択になります。

どんな悩みに向いている?

眉の下がり、ほうれい線、口角から下に伸びる線(マリオネットライン)、二重あごなどです[2]。ヒアルロン酸やボツリヌス毒素だけでは届きにくい部位に使いやすいと整理されています[2]。顔の脂肪吸引のあとに残った皮膚のたるみや、脂肪注入のあとに脂肪が下がってきた場合の補正にも使われます[2]。11万件を超える多施設のデータでは、使われる素材や併用治療の傾向が年ごとに変わってきたことが報告されています[8]。

起こりやすいトラブルは?

痛み、強い腫れ、皮膚のへこみ、口が開けにくくなることなどが知られています[4]。これらを避けるため、糸をまっすぐ入れてまっすぐ出す単純な手技が主流になりました[4]。糸がずれて動いてしまう問題への工夫も報告されています[4]。満足できなかった人にどんな共通点があるかを多施設で調べた研究もあり、手技のトラブルだけでなく、事前の期待値そのものが結果を左右します[9]。

診察では何を確かめる?

自分のたるみが、糸で届く範囲かどうかです。皮膚のあまりが多く、深い層から引き上げたい状態であれば、糸では足りません[2]。糸の本数と効果の関係を調べた比較試験も行われていますが、何本入れれば十分かという決まった答えはまだありません[10]。

どの部位をどの方向へ引き上げる計画なのか、何か月もつ見込みで、次に何をする想定なのかまで聞いておくと、後の判断が楽になります。医師の説明が「持ち上がる」だけで止まるようなら、持続と限界についても確かめてください。

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