脂肪注入豊胸のしこりは、脂肪の壊死やオイルシスト(油のたまり)が主な原因で、脂肪の処理法である程度は減らせると考えられています[1]。ただし、処理法どうしの優劣をはっきり結論づけた比較はまだ限られます[2]。何がわかっていて、選ぶときに何を見ればよいかを整理します。
脂肪注入豊胸の基本の流れは?
採った脂肪を処理して、胸の複数の層に少量ずつ分けて注ぎます[3]。乳腺はできるだけ避けて、皮下や筋肉の下などに分散させます[3]。この「処理」と「どう分けて注ぐか」が、しこりのできにくさや定着に関わります。
しこりはなぜできる?
しこりの多くは、定着しなかった脂肪が固まる脂肪壊死や、油がたまってできるオイルシストです[4][1]。採取のときに壊れた脂肪から出た油が混じることが、オイルシストの一因と指摘されています[1]。処理法の系統的レビューでも、脂肪壊死やしこりは主な合併症として繰り返し報告されています[4]。
処理法でしこりは減らせる?
「油を除いて濃縮する」方向の処理が、オイルシストを減らす主な戦略とされています[1]。一方で、遠心・洗浄・ろ過などのどれが最も優れるかは、報告のばらつきが大きく、確定的な結論には至っていません[2]。処理法は大事な要素ですが、それだけで結果が決まるわけではありません。
石灰化と乳がん検診への影響は?
脂肪注入のあとは、石灰化や脂肪壊死の変化がマンモグラフィや超音波に写ることがあります[5]。多くは良性のパターンですが、乳がんの検査で見分けが必要になる場合があるため、注入したことを検診で伝えることが大切です[6]。定期的な検診を続けやすいかも、選ぶときの視点になります。
相談で確認したいこと
確認したいのは、どの処理法でしこりを減らすのか、一度に入れる量と回数の考え方、そして石灰化や検診への影響への備えです[2][1][6]。定着や合併症には個人差があります。医師に、処理法を選ぶ理由と、検診を続ける前提での長期の付き合い方を聞いて、判断の材料にしてください。
- 1Ma N, Li S, Liu C, ほか. Oil Cysts after Fat Grafting Breast Augmentation May Be Avoided. Plastic & Reconstructive Surgery. 2026. doi:10.1097/prs.0000000000012446
- 2Condé-Green A, Wu IW, Graham IA, ほか. Comparison of 3 Techniques of Fat Grafting and Cell-Supplemented Lipotransfer in Athymic Rats. Aesthetic Surgery Journal. 2013. doi:10.1177/1090820X13487371
- 3Neligan PC ほか(編). Plastic Surgery, 5th ed. 自家脂肪移植による豊胸(採取・処理・多層注入)の項.
- 4Seth I, Bulloch G, Gibson D, ほか. Autologous Fat Grafting in Breast Augmentation: A Systematic Review Highlighting the Need for Clinical Caution. Plastic & Reconstructive Surgery. 2024. doi:10.1097/PRS.0000000000010614
- 5Veber M, Tourasse C, Toussoun G, ほか. Radiographic Findings after Breast Augmentation by Autologous Fat Transfer. Plastic and Reconstructive Surgery. 2011. doi:10.1097/prs.0b013e318205f38f
- 6Veber M, Tourasse C, Toussoun G, ほか. Radiographic Findings after Breast Augmentation by Autologous Fat Transfer. Plastic and Reconstructive Surgery. 2011. doi:10.1097/prs.0b013e318205f38f
- 7日本形成外科学会(編). 形成外科診療ガイドライン1(2021年版). 乳房再建 CQ28 自家脂肪注入法の項.