糸リフトの糸は、形(返しの向き、U字かI字か、太さ)と素材(PDO、PLLA、PCL)で性格が変わります[1][2]。強く引き上げたいならこめかみに固定するU字型、傷みや違和感を抑えたいならI字型という分け方が総説で示されていますが、U字型は出血やえくぼ状のへこみが多いと報告されています[1]。テスリフトのようなPDOの返し付きの糸も、この「形と素材」の軸で位置づけると選びやすくなります[1][2]。
U字型とI字型、何が違う?
違いは、どこに引っかけて支えるかです。U字型は糸を折り返してこめかみなどに固定する吊り上げ型で、こめかみに固定したときに目に見える引き上げが得られた率は85〜90%と報告されています[1]。その代わり、出血15〜20%、えくぼ状のへこみ12〜18%、糸の出口の組織の傷5〜10%と、合併症は多めです[1]。
I字型は組織への負担と不快感が少なく、合併症は5%未満とされる一方、引き上げの効果は控えめです[1]。総説は、どちらか一方に頼るより、患者さんごとに組み合わせる方が良い結果になると結論しています[1]。
返し(コグ)の向きと太さで、何が変わる?
返しの向きは、一方向、双方向、多方向に分けられます[3]。多方向の返しは組織への食いつきを増やし、張力を均等に分散して糸の移動を減らすと説明されています[1]。
太さも選ぶ軸です。太くて返しの大きい糸は下顔面の重いたるみ向き、細くて返しの細かい糸は目のまわりのような繊細な部位向きです[1]。返しのある糸は、なめらかな糸に比べて赤み、内出血、痛み、感染が多いという指摘もあります[4]。
PDO、PLLA、PCL。素材で持ちは変わる?
糸が体に残る期間は素材で違います。日本の111,948件の集計では、効果の持ちは素材と部位でおよそ6〜12か月、PDOの糸は6〜8か月で分解し、PCLの糸は12か月ほど残るとまとめられています[2]。動物実験の論文では、PDOは6か月、PLLAは12か月、PCLは2年という引用もあります[5]。
素材による合併症の違いも報告されています。PCLは過敏さと内出血が多く、PDOは炎症が少ないが感染が多く、PLLAはその中間、という整理です[4]。ただし、種類ごとの安全性と効果のデータは限られていると同じレビューは注意しています[4]。
溶ける糸と溶けない糸、いまの主流は?
いまの主流は溶ける糸です。溶けない返し付きの糸は溶ける糸に置き換えられ、溶ける糸の方が安全で修正しやすく、しびれや糸の露出のリスクが大きく減ったと説明されています[6]。PDOは数か月かけて体内で分解し、引き上げとコラーゲンづくりの両方の性質を持つと総説は述べています[1]。教科書は糸リフトを、返し付きの糸を皮膚の上から入れて顔や首の軟部組織を持ち上げる、切開より侵襲の少ない方法と定義しています[7]。
効果はどのくらい続く?
糸の種類にかかわらず、効果は永続しません。系統的レビューが引く報告では、吊り上げだけのリフトの効果は6か月で薄れ始め、12か月でフェイスラインの効果はすべて、中顔面の効果も8割からすべてが失われていました[3]。大規模集計でも、効果の持ちはおよそ6〜12か月です[2]。
111,948件の集計は、匿名の集計データのため合併症や長期の結果は評価できなかったと限界を明記しています[2]。糸が残る期間と、効果が見える期間は同じではないことも、選ぶときに覚えておきたい点です[3][2]。
診察で確認したいこと
確かめたいのは、自分のたるみの重さと部位に対して、どの形(U字かI字か)、どの太さと返し、どの素材の糸を使うのか、固定をどこに置くのかです[1][2]。強い引き上げと合併症の少なさは両立しにくいので、どちらを優先するかを先に決めておくと相談が進めやすくなります[1]。
効果の持ちは素材と部位で変わります[2]。自分の顔で何か月を見込むのか、戻ったときにどうするのかは、診察で顔を見てもらったうえで医師と決めることになります。
- 1Hong GW, Wan J, Yoon SE, Wong S, Yi KH. Pre- and Post-Procedural Considerations and Thread Types for Thread Lifting. Life. 2025. doi:10.3390/life15010085
- 2Tamura T, Okumura K, Funakoshi Y, Teranishi H. Multicenter Review of More Than 110,000 Facial Thread Lifting Cases From a Cosmetic Surgery Group. Plastic and Reconstructive Surgery Global Open. 2025. doi:10.1097/GOX.0000000000007335
- 3Gülbitti HA, Colebunders B, Pirayesh A, Bertossi D, van der Lei B. Thread-Lift Sutures: Still in the Lift? A Systematic Review of the Literature. Plastic and Reconstructive Surgery. 2018. doi:10.1097/PRS.0000000000004101
- 4Rashid Y, Estela-Fernandez C, Sardar A, Deowan D, Safdar OM, Issimdar IA. Advances in Anti-aging Procedures: A Comprehensive Review of Surgical and Non-surgical Rejuvenation Techniques. Cureus. 2025. doi:10.7759/cureus.92666
- 5Soen M, Hidayat M, Widowati W. Enhancing dermal collagen density towards youthfulness: A comparative study of PCL, PLLA, and PDO thread implantation in aging rats model. Iranian Journal of Basic Medical Sciences. 2025. doi:10.22038/ijbms.2024.80494.17428
- 6Burko P, Sulamanidze G, Nikishin D. Efficacy of Lifting Threads Composed of Poly(L-Lactide-Co-ε-Caprolactone) Copolymers Coated With Hyaluronic Acid: A Long-Term Study on Biorevitalizing Properties in Skin Remodeling. Journal of Cosmetic Dermatology. 2025. doi:10.1111/jocd.70077
- 7Grabb and Smith's Plastic Surgery. Chapter 53: Facelift and Necklift (thread lift).