網目の糸は、ふつうの糸と何が違う?面で支える糸リフトの考え方

網目(メッシュ)状に組んだ糸は、組織に触れる面を広げて、引く力を1本の線でなく面で受けようという設計です。返しを多方向に配して力を分散させる、近年の糸の流れの延長にあります。

網目(メッシュ)状に組んだ糸は、組織に触れる面を広げて、引く力を1本の線でなく面で受けようという設計です。返しを多方向に配して力を分散させる、近年の糸の流れの延長にあります[1]。ただしメッシュ構造そのものを通常のコグ糸と比べた臨床研究は今回の文献では見つからず、素材がPDOなら6〜8か月で分解する点は形が変わっても同じです[2][3]。

網目にする狙いは、何?

つかむ面を広げて、力を分けることです。返しを多方向に配した糸は、組織へのつかみを強め、張力をより均等に分散させて糸のずれを減らす、と糸の形をまとめたレビューは説明しています[1]。網目状の糸は、この考え方を1本の糸から面へ広げたものと理解できます。

その狙いが臨床でどれだけ差になるかは、確かめられていません。メッシュ構造の糸を通常のコグ糸と比べた研究は、今回取得した文献にはありませんでした。同じレビューは、結果を決めるのは糸の種類より患者さんの選び方と計画だと結論しています[1]。

素材はPDO。どのくらいで溶ける?

6〜8か月が目安です。PDOの糸は縫合糸としての実績があり、6〜8か月以内という予測しやすい吸収の経過と、コラーゲンを作らせる働きから広く使われています[2]。日本の111,948件の集計でも、PDOの糸は6〜8か月で分解すると書かれています[3]。

溶けたあとに引き上げが続くかは、別の問題です。返しの付いた溶ける糸の使い方をまとめた専門家の合意文書は、PDOの刺激で最初の12か月にコラーゲンが作られ引き締めが起きると書きつつ、糸が溶けたあとの持続についてはさらに研究が必要だと明記しています[4]。

立体的な返しの糸で、何が測られた?

しわの重さと全体の改善度が、6か月まで測られています。返しを120度、240度、360度の向きに配した3次元コグ付きPDO糸を、しわの重症度が3か4の女性30人(平均58.0歳)に使った前向き研究では、1か月、3か月、6か月の時点で3D画像とWSRS、GAISによる評価が行われました[2]。

この研究は、18Gの太い糸を深い層の引き上げに、21Gの細い糸を浅い層に使う多層の入れ方を採り、糸の露出、へこみ、感染は30人では見られなかったと報告しています[2]。ただし盲検ではなく比較群もない、と著者自身が限界を書いています[2]。メッシュ状の糸をそのまま調べた研究ではない点も踏まえて読む必要があります。

へこみや糸の露出は、起きる?

起きうるトラブルとして、素材や形を問わず知られています。顔の糸リフトの合併症をまとめたメタ解析は、内出血や腫れなどの短期症状、皮膚のへこみや輪郭の乱れ、しびれなどの感覚の変化、感染や糸の露出、神経や耳下腺の損傷という5つの型を挙げています[5]。皮膚のへこみと糸の露出は、それだけを主題にした報告があるほど代表的なトラブルです[6]。

リスクの低さと関連していたのは、溶ける糸を使うことと年齢が若いことでした[7]。網目状だから起きない、とは言えません。入れる深さや層、太さの選び方が、形の違い以上に関わります[1]。

できることと、できないこと

できるのは、軽いたるみを一時的に引き上げることです。糸リフトは返し付きの糸を皮膚の上から入れて顔や首の軟部組織を持ち上げる、切開より侵襲の少ない方法だと教科書は定義しています[8]。日本美容外科学会のガイドラインは、一時的な改善は期待できるが効果は大きくなく持続が短いものとして、推奨度2(弱く推奨)にしています[9]。

形が新しくても、この位置づけの外には出ません。面で支える設計が持続を延ばすかどうかは、まだデータで確かめられていない、というのが正確な現状です。

診察で確認したいこと

確かめたいのは3つです。使う糸の素材と形、入れる層と本数、そして自分の顔で見込む効果の期間とその根拠。網目状の糸を選ぶ理由が、自分のたるみのどこを見て決まったのかを聞いてみてください。

たるみの程度と皮膚の厚みで、糸で届く範囲は変わります。どの形の糸が合うかは、診察で顔を見てもらったうえで医師と決めることになります。

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