ピーリングは、薬剤を肌に塗って古い角質や傷んだ表面の層をはがし、肌の生まれ変わりを早める治療です[1]。白ニキビ・黒ニキビのような炎症の少ないニキビや、色むら、浅いしわに使われますが、変化は穏やかで、何回か続ける必要があります[2][3]。肌の色が濃い人や炎症が強いときは、かえって色が濃くなる色素沈着に気をつけたい治療です。
ピーリングで、何が変わる?
変わりやすいのは、肌の色むら、浅いしわ、ニキビ跡の色です。顔のピーリングの主な目的は、色むら、しわ、ニキビ跡です[1]。
ニキビでは、グリコール酸やサリチル酸を使った浅いピーリングが、炎症の少ないニキビに効果が期待できます[2]。日本皮膚科学会の資料では、この使い方は「選択肢の一つとして勧める」位置づけです[2]。
ニキビやニキビ跡には、どこまで効く?
炎症の少ないニキビには、少し良くなる程度の効果が期待できます。米国皮膚科学会の指針でも、ピーリングは何回か必要で、効果は長くは続かないと説明されています[3]。
へこんだニキビ跡には限界があります。高濃度のグリコール酸やTCAのピーリングは、へこんだニキビ跡には勧められていません[2]。細く深いへこみや、なだらかに波打つへこみは、ピーリングで完全に消すのは難しいと書かれています[1]。
シミや肝斑には向いている?
肝斑には、ピーリングだけより塗り薬と組み合わせる使い方が中心です。グリコール酸のピーリングとハイドロキノンの組み合わせには効果がある一方、ピーリングだけでは根拠がまだ足りません[2]。
注意したいのは、ピーリングでできた炎症が、かえってシミを濃くすることがある点です[2]。特に肌の色が濃い人では、色が濃くなったり、白く抜けたりすることがあります[4]。
回数とダウンタイムの目安は?
浅いピーリングなら、ダウンタイムは短めです。グリコール酸のピーリングでは、一時的な刺激、乾燥、かさぶたが出ることがありますが、長く残る副作用はないとされています[2]。
回数の一例として、ニキビ跡にサリチル酸30%を使う場合は、3〜4週ごとに3〜5回が目安です[1]。深めのTCAのピーリングでは、赤みや皮むけは多くが1週間以内に治まる一方、赤みが1か月ほど続いた例もあります[5]。
気をつけたほうがいいのは、どんな場合?
日本人を含む肌の色が濃めの人では、色素沈着のリスクに気をつけながら薬剤や強さを選びます[6]。肌の色が濃い人を対象にした研究のまとめでは、ニキビやニキビ跡へのピーリングで良い結果が出て、副作用は少なかったと報告されています[6]。
サリチル酸のピーリングは、長く残る色素沈着や傷跡がとてもまれで、肌の色が濃い人にも使われています[1]。ただ、日焼け直後や炎症が強い時期は、色素沈着が起こりやすくなるため、受けるタイミングも大切です。
自分に合うかは、診察で何を確認する?
確認したいのは、悩みが炎症の少ないニキビなのか、へこんだニキビ跡なのか、肝斑なのかです。これで、ピーリングが合うのか、塗り薬やレーザーなど別の治療と組み合わせたほうがよいのかが分かれます。
あわせて、使う薬剤と濃さ、回数と間隔、赤みが出たときの過ごし方も聞いておきましょう。肌の状態は一人ひとり違うので、実際に診てもらったうえで医師と相談して決めるのが確実です。
- 1Fabbrocini G, Annunziata MC, D'Arco V, De Vita V, Lodi G, Mauriello MC, et al. Acne Scars: Pathogenesis, Classification and Treatment. Dermatology Research and Practice. 2010. doi:10.1155/2010/893080
- 2日本皮膚科学会 資料(グリコール酸やマクロゴール基剤サリチル酸の浅いピーリングは炎症の少ないニキビに推奨度C1。高濃度グリコール酸やTCAのピーリングはへこんだニキビ跡には推奨度C2。グリコール酸ピーリングは一時的な刺激・乾燥・かさぶたを生じるが長期の副作用はない。ピーリングの炎症でかえって色素沈着が濃くなることがある。肝斑ではハイドロキノン併用で有効性があるが、ピーリング単独は推奨度C2)
- 3Zaenglein AL, Pathy AL, Schlosser BJ, Alikhan A, Baldwin HE, Berson DS, et al. Guidelines of care for the management of acne vulgaris. Journal of the American Academy of Dermatology. 2016. doi:10.1016/j.jaad.2015.12.037
- 4Bolognia Dermatology, 5th ed. Chapter 67 Disorders of Hyperpigmentation(サリチル酸やグリコール酸のピーリングは色素を取り除けるが、特に肌の色が濃い人では色が濃くなったり白く抜けたりすることがある)
- 5Sitohang IBS, Legiawati L, Suseno LS, Safira FD. Trichloroacetic Acid Peeling for Treating Photoaging: A Systematic Review. Dermatology Research and Practice. 2021. doi:10.1155/2021/3085670
- 6Chemical Peels in Skin of Color: A Scoping Review of Safety, Efficacy, and Practice Patterns. Cureus. 2026. doi:10.7759/cureus.108851