ハンドベイン治療の選び方は、血管そのものを閉じて消したいのか、手の甲のやせを補って浮き出しを和らげたいのかで分かれます[1][2]。前者は硬化療法、後者は脂肪注入やヒアルロン酸などの注入が中心です[1]。方法同士を直接比べた研究はまだないため、手の状態に合わせて選ぶことになります。
まず、何が違う?「閉じる」と「補う」
硬化療法は、静脈に薬を入れて血管を閉じ、見えにくくする方法です[2]。目立つ血管そのものに働きかけるのが特徴です。
注入は、年齢とともに減った手の甲のボリュームを足す方法です。手の甲の若返りを調べた46の研究のまとめでは、脂肪注入が9件、ヒアルロン酸などの注入が20件、光・レーザーの治療が10件でした[1]。血管は残したまま、皮膚の下をふっくらさせて浮き出しを目立ちにくくします[3]。
硬化療法が向くのは、どんな手?
向いているのは、手の甲のふくらみはそれほど減っておらず、青い血管の浮き出しが一番の悩みという人です。手の甲の静脈を泡状の薬で治療した41人の報告では、施術は平均1.5回でした[2]。
よくある反応は、閉じた血管の中に血のかたまりができることで、施術の15.2%で見られました[2]。しこり、腫れ、色素沈着(茶色っぽいあと)、長引く赤みはまれで、神経の症状が出た人はいませんでした[2]。
一方、受けないほうがよい場合もあります。手根管症候群がある、手の甲の静脈の走り方がふつうと違う、手の手術を受けたことがある、透析用の血管がある、手の痛み・むくみ・強い関節炎がある、といった場合です[4]。
脂肪注入やヒアルロン酸が向くのは、どんな手?
手の甲がやせて、血管だけでなく骨や筋も浮いて見える人は、補う方法が合いやすくなります。脂肪注入の10の研究・320人をまとめた報告では、97.6%が結果に満足していました[3]。
そのかわり、ほぼ全員に一時的なむくみが出ていました[3]。ほかには、内出血が7%、一時的なしびれなどの感覚の変化が5.3%、しこりや凸凹が1.3%、感染が0.67%で、重い合併症はありませんでした[3]。
なお、光・レーザーの治療は、ほかの方法より満足度が低めでした[1]。シミや肌のきめの悩みには使われますが、血管の浮き出しが主な悩みなら、ほかの方法と比べてから選ぶと安心です。
研究の数字は、どこまで当てはまる?
ここまでの数字は、それぞれ別の研究から出たものです。同じ人を比べたわけではないので、満足度の数字を並べて優劣を決めることはできません。
硬化療法の報告は1つの施設で振り返って調べたもので、手の甲は41人でした[2]。手の甲の若返りの研究も、対象のほとんどが女性で、平均年齢は41.5〜69歳でした[1]。
色素沈着は、硬化療法全般で起こりうる反応です。脚の静脈の指針でも、場合によっては残ることがあると注意されています[5]。茶色いあとが気になる人は、出たときの対応も聞いておきましょう。
診察では、どこを見てもらう?
まず見てもらいたいのは、目立つ原因が血管の浮き出しなのか、手の甲のやせなのか、その両方なのかです。両方あるなら、組み合わせる選択肢も出てきます。
そのうえで、手の持病や過去の手術、むくみや痛みの有無を伝えてください。どの方法が合うかは記事だけでは決められないので、手を実際に診てもらってから判断しましょう。
- 1Ovadia SA, Efimenko IV, Lessard AS. Dorsal Hand Rejuvenation: A Systematic Review of the Literature. Aesthetic Plastic Surgery. 2021. doi:10.1007/s00266-020-02077-3
- 2Verma KK, Ramesh M, Nguyen M, Friedmann DP. Sclerotherapy off the Lower Extremities: A Single-Center Retrospective Study of Veins Treated on the Dorsal Hands and Chest. Dermatologic Surgery. 2023. doi:10.1097/DSS.0000000000003900
- 3Vermeersch N, De Fré M, Verhoeven V, Hunter JE, Tondu T, Thiessen FEF. Autologous fat transfer for hand rejuvenation: A systematic review on technique and outcome. JPRAS Open. 2022. doi:10.1016/j.jpra.2022.03.001
- 4Fares C, Abou Shahla W, El Hawa M, Saade D. Nonfacial Skin Rejuvenation of the Neck, Chest, and Hands. Part Two: Using Laser Techniques. Journal of Cosmetic Dermatology. 2025. doi:10.1111/jocd.16671
- 5Attaran RR, Edwards ML, Arena FJ, et al. 2025 SCAI Clinical Practice Guidelines for the Management of Chronic Venous Disease. Journal of the Society for Cardiovascular Angiography & Interventions. 2025. doi:10.1016/j.jscai.2025.103729