真皮移植は、自分の皮膚から表面の層を除いた真皮(皮膚の深い層)を、足りない部分に移す施術です。下の脂肪ごと移す真皮脂肪移植は、皮膚が薄い人の鼻筋を自然に高くする目的で使われます[1]。ただし移した組織は一部が吸収されるため、仕上がりが読みにくい面があります[1]。
真皮移植で、何ができる?
主な使い道は、鼻を高くすることです。真皮のグラフト(移植する組織)は、鼻を高くする手術に使えるとされています[2]。
真皮脂肪移植は、鼻筋の高さを足すほか、鼻筋や鼻先、小鼻の細かなでこぼこをなだらかにする目的でも使われます[1]。
鼻以外では、唇のボリューム不足を補う方法としても確立されています。口唇裂の手術後に赤い唇の部分が足りない人へ、真皮脂肪を移す方法が報告されています[3]。
どんな鼻に向いている?
向きやすいのは、鼻の皮膚が薄い人です。皮膚が薄い人でも、自然な見た目で高さを出せると説明されています[1]。
真皮脂肪移植は、真皮と皮下脂肪の2つの層でできています[1]。真皮だけでなく脂肪も一緒に移すことで、足りないボリュームを補います[1]。
どこまで残る?吸収の限界は?
移した真皮脂肪は、一部が吸収されます。そのため、手術のあとの仕上がりは予測しにくいとされています[1]。
自分の真皮がどのくらい残るかを数字で示した研究は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。「何割残る」と言い切れない施術だと理解しておくのが現実的です。
他人の真皮を使う方法とは、何が違う?
海外では、加工した他人の真皮を、鼻筋や鼻先のでこぼこを隠す目的で使った報告があります[4]。これは自分の真皮を使う真皮移植とは別の材料です。
その研究では91人のうち77%が修正手術で、薄くなった皮膚を厚くする目的でした[4]。平均3.8年の経過で、形の問題は1%、吸収は3%、感染は4%で、感染はすべて飲み薬で治っています[4]。
自分の真皮では一部の吸収が前提になる点と比べると、性質の違う材料だと分かります。どちらが使えるかは、施設や状態によって変わります。
皮膚の欠けた部分を治す使い方もある?
あります。鼻の皮膚が欠けた7人に、表面を除いた皮膚を移す方法で治した報告があります[5]。顔に新しい傷あとを増やさずにすむ方法として紹介されています[5]。
これは美容目的というより、けがや手術のあとを治す使い方です。同じ「真皮を移す」でも、目的によって方法が違います。
自分に合うかは、診察で何を確かめる?
確かめたいのは、鼻の皮膚の厚さ、どのくらい高くしたいか、真皮をどこから取るかです。吸収がある施術なので、足りなかった場合にどう対応するかも聞いておきましょう。
ここは写真や記事だけでは決められません。診察で鼻を実際に見てもらい、ほかの方法と比べた理由を説明してもらうと判断しやすくなります。
- 1Suh MK. Atlas of Asian Rhinoplasty. 2018. Dermofat / Dorsal Augmentation with Dermofat / Implant-Related Complications(真皮脂肪移植の構成・適応・吸収に関する記載)
- 2Daniel RK. Rhinoplasty: An Atlas of Surgical Techniques. 2018(真皮グラフトを隆鼻術に用いる記載/肋軟骨グラフトの用途)
- 3Sasson DC, Turin SY, Gosain AK. Novel Passage of Dermis-Fat Graft for Augmentation of Vermilion Deficiency Following Cleft Lip Repair. The Cleft Palate-Craniofacial Journal. 2020. doi:10.1177/1055665619900623
- 4Melancon CC, Challapalli S, Kridel RWH. The Use of Acellular Human Dermis as a Dorsal Camouflaging Graft in Rhinoplasty. Facial Plastic Surgery & Aesthetic Medicine. 2023. doi:10.1089/fpsam.2021.0399
- 5Segawa Y, Tono H, Chiba H, Sato Y, Asano Y. Case series of modified dermis graft for skin defects of the nasal region. The Journal of Dermatology. 2022. doi:10.1111/1346-8138.16544