隆鼻術後の腫れや鼻づまりは、ほぼすべての人に一時的に起こる正常な経過です。ただし最終的な形が定まるまでには、初めての手術で12〜15か月、やり直しの手術では24〜30か月ほどかかると報告されています。経過の目安と、様子見でよい変化・受診したほうがよい変化を分けて説明します。
術後の鼻づまりや違和感は、ほぼ全員に起こる
術後の鼻炎のような症状や鼻づまりは、正常な粘膜の浮腫やかさぶたが原因で、事実上すべての患者に起こるとされています[1]。腫れそのものも、手術の出来栄えとは別に、満足度に影響しうるよく知られた経過だと位置づけられています[2]。
臨床ガイドラインでも、内出血・腫れ・痛み・しびれ・鼻づまり・鼻水・鼻血・においの変化・吐き気などは、合併症ではなく想定内の術後経過として、事前に説明しておくべき項目に挙げられています。書面で説明を受けた人のほうが、口頭だけの説明より内容を覚えていたとも報告されています[3]。
最終的な形が決まるまでは、思ったより長い
初めて受ける隆鼻術では最終結果まで12〜15か月、やり直しの手術では24〜30か月ほどかかるとされ、浮腫が引く速さには個人差があると術前に説明すべき事項として挙げられています[4]。鼻の結果は、術後の収縮や輪郭の変化、瘢痕が締まっていく過程を経て、何年もかけて変わり続けるものだとも整理されています[5]。
内出血や腫れの主な原因は、手術中の出血
術中の出血が多いと、術後の内出血や浮腫が強く出て回復が遅れ、とくに鼻先の手術のあとは結果そのものが悪くなりやすいと報告されています[6]。丁寧な止血が、腫れの経過を左右する要因の一つです。
においの違和感が出たら、副鼻腔の状態を疑う
術後に生じる悪臭感のような違和感は、もともとあった副鼻腔炎や鼻炎が再び悪化することが誘因になりうるとされています[7]。単なる腫れではなく鼻の奥の炎症が関わっている場合があるため、長引く場合は伝えたほうがよい症状です。
鼻づまりが治らないときは、腫れ以外の原因も
手術後の鼻づまりが再手術を要するほど続く場合、中隔を延長した部分のずれや、骨を狭めすぎたこと、鼻の中の弁の部分が狭くなったり瘢痕化したりしていることなどが原因として挙げられています[8]。術後の鼻炎自体も、手術で正常な鼻の構造や粘膜の動きが一時的に乱れることから起こりうるとされます[9]。
普通の経過と、確認したほうがよい変化の見分け方
腫れ・むくみ・違和感・軽い鼻づまりは、多くの人に共通する正常な経過です。一方で、においの異常が長引く場合[7]、鼻づまりが数か月たっても改善しない場合[8]は、通常の治り方から外れている可能性があるため、経過を伝えて確認してもらう対象になります。
診察前に整理しておきたいこと
初診の段階で、術式・代替法・回復期間の見通し・期待できる結果・起こりうる合併症について、十分な説明を受けることが標準的な診療の一部です[10]。腫れの引き方や最終的な形が見えてくる時期には個人差があるため、いつまでにどの程度落ち着くのが目安かを、ご自身の状態に沿って確認しておくとよいでしょう。
- 1Neligan Plastic Surgery, 5th ed., Vol.2 Aesthetic. Chapter 21(術後の鼻炎様症状や鼻づまりは、正常な粘膜浮腫や痂皮形成が原因で事実上すべての患者に生じる)
- 2Neligan Plastic Surgery, 5th ed., Vol.2 Aesthetic. Chapter 17(術後の腫脹は手術結果とは独立して患者満足度に影響しうる、よく知られた現象である)
- 3Ishii LE, Tollefson TT, Basura GJ, Rosenfeld RM, Abramson PJ, Chaiet SR, Davis KS, Doghramji K, Farrior EH, et al. Clinical Practice Guideline: Improving Nasal Form and Function after Rhinoplasty. Otolaryngology–Head and Neck Surgery. 2017. doi:10.1177/0194599816683153
- 4Dallas Rhinoplasty, 4th ed. (Rohrich, 2024). Chapter 61 Patient Education(最終結果は初回手術で12-15か月、再手術で24-30か月を要し、浮腫の消退速度には個人差があると術前に説明すべき)
- 5Structure Rhinoplasty, Vol.3. pages 0001-0025(隆鼻術の結果は、術後の収縮・輪郭のrefinement・瘢痕拘縮という進行性の治癒過程を経て、何年にもわたり変化し続ける)
- 6Atlas of Asian Rhinoplasty (Suh, 2018). Intraoperative Hemorrhage(術中出血は術後の内出血・浮腫の原因となり回復を遅らせ、とくに鼻尖の手術後はアウトカムを悪化させる)
- 7Atlas of Asian Rhinoplasty (Suh, 2018). Cacosmia(術後に生じる悪臭感は、もともとある副鼻腔炎・鼻炎の再燃・増悪が誘因になりうる)
- 8Atlas of Asian Rhinoplasty (Suh, 2018). Nasal Obstruction(再手術を要する術後鼻閉の原因: 中隔延長移植後の中隔偏位、過度の鼻骨狭小化、下鼻甲介内方転位、internal/external valveの虚脱・狭窄、internal valveの瘢痕化)
- 9Dallas Rhinoplasty, 4th ed. (Rohrich, 2024). Contents(postrhinoplasty rhinitisは、手術による正常な鼻腔解剖・粘液線毛クリアランスの破綻に続発しうる)
- 10Basic and Open Rhinoplasty (Meneghini, 2021). Chapter 22.5(初診カウンセリングでは、術式・代替法・回復期間の見通し・期待される結果・起こりうる合併症について十分な説明を行うことが標準的な診療プロセスの一部)