鼻孔縁下降術のあとは、腫れや内出血がしばらく続き、移植した組織(グラフト)が落ち着くまで見た目が変わっていきます。多くの腫れは早い時期に強く出て、その後ゆっくり引いていきます。ただし、鼻の縁を支えるために軟骨などを移植するので、生着や拘縮(縮んで硬くなること)の経過も見ていく必要があります[1]。急な強い痛みや移植組織の飛び出し、傷の異常があるときは早めに受診してください[2]。
腫れと内出血はどう引いていく?
鼻の手術後は、腫れや内出血が出て、時間とともに引いていきます。ただ、鼻先や鼻の縁は細かい部分の変化が見えやすく、最終的な形が落ち着くまでには時間がかかります。とくに移植した組織がなじむまでは、むくみで縁がふくらんで見えることもあります。完成を焦らず、数か月単位で経過を見ると安心です。
グラフトはどうやって落ち着く?
鼻孔縁下降術では、後退した鼻の縁を下げて保つために、軟骨などを移植して支えをつくります[3]。移植した組織がなじんで安定するまでには時間がかかり、その間は形が少しずつ変化します。皮膚が薄い人や軟骨が弱い人では、移植した組織が透けて見えたり、左右差が出たりすることがあると指摘されています[2]。仕上がりの評価は、あわてず経過を追ってから行うのが現実的です。
拘縮や後戻りはいつ心配する?
移植した組織は、時間とともに縮んで硬くなる(拘縮する)ことがあります。耳の軟骨を使った支えでは、手術から9〜17年という長い年月をかけて、瘢痕の拘縮でじわじわと鼻の縁が後退し、移植した組織が目立ってくる可能性が報告されています[1]。つまり、術直後がよくても、数年から十数年単位でゆっくり戻ることがあります。長く経過を見てくれるクリニックを選ぶ意味は、ここにあります。
鼻孔レティナ(型)は必要?
鼻の穴に入れて形を保つ器具(鼻孔レティナ)は、術後の後戻りや、瘢痕による鼻の穴の狭まりを防ぐ目的で使われることがあります[4]。ガイドラインでも予防の目的では使ってよいとされていますが、こすれによるびらんや潰瘍に注意が必要です[4]。一方で、どのくらいの期間つければよいかという明確な基準は、まだ示されていません[4]。使う場合は、目的と注意点を医師に確認しておくと安心です。
受診したほうがいいサインは?
徐々に薄れる内出血や、少しずつ引くむくみは経過の範囲です。一方で、急に強くなる痛み、傷の開きや移植組織の飛び出し、赤みが広がる、膿のような分泌物が出るといったサインは、感染や移植組織のトラブルの可能性があります。こうしたときは自己判断せず、受けたクリニックに早めに連絡してください。迷ったときに相談できる連絡先を、術前に確かめておくと安心です。
焦らず経過を見るために診察で確認したいこと
見通しを持つために、術前に自分の場合の経過を聞いておくと役立ちます。診察では、想定される腫れの引き方、グラフトが落ち着くまでの期間、鼻孔レティナを使うかどうかと注意点、そして長期の後戻りの可能性まで確認してください[1]。とくに皮膚が薄い・軟骨が弱いといった条件があると経過が変わることもあるため、自分の状態に合わせた説明を受けられるかを相談で確かめると安心です[2]。
- 1Gunter JP, et al. Dallas Rhinoplasty. 耳介軟骨 strut graft の長期経過(瘢痕拘縮による進行性 alar retraction).
- 2Gunter JP, et al. Dallas Rhinoplasty. 薄い皮膚・弱い軟骨でのgraft visibility・左右差のリスク.
- 3Rohrich RJ, Raniere J, Ha RY. The Alar Contour Graft: Correction and Prevention of Alar Rim Deformities in Rhinoplasty. Plastic and Reconstructive Surgery. 2002. doi:10.1097/00006534-200206000-00050
- 4日本形成外科学会(編). 形成外科診療ガイドライン 2(2021年版). CQ21(術後の鼻孔レティナ使用).
- 5Tito MM, Moretti A. Correction of alar rim retraction by lateral crural extension graft. Acta Otorhinolaryngologica Italica. 2020. doi:10.14639/0392-100X-N0382
- 6Lai LY, Hsu HC. The Single Application of External V-Y Plasty in Correcting Alar Retraction. Journal of Cosmetic Dermatology. 2025. doi:10.1111/jocd.70242