自家組織隆鼻術

自分の組織を使って、自然な鼻筋に。

自家組織隆鼻術は、ご自身の肋軟骨などを使って鼻筋を整える手術です。 当院では鼻の高さだけを見るのではなく、正面から見た鼻筋の幅や、額から鼻先までのつながり、顔全体とのバランスまで確かめながら、治療の計画を立てていきます。

手術中の執刀医
当院の手術室での施術風景

このようなご希望・お悩みがある方へ

  • 鼻筋を自然に通したい
  • 人工物を使わずに整えたい
  • 横顔だけでなく、正面から見た鼻筋も整えたい
  • 皮膚が薄く、輪郭が浮いて見えないか心配
  • 以前入れたプロテーゼを抜きたい、入れ替えたい
  • 自分の顔立ちに合う高さや幅が分からない

診察では、希望する高さはもちろん、額から鼻先までのライン、鼻筋の幅、皮膚の厚み、 これまでの手術歴まで確かめます。そのうえで、どの方法が合っているかをご提案します。

なぜ、自家組織なのか

自分の組織だからこそ、できることがあります。

自分の軟骨だから、なじむ

入れるのはご自身の軟骨です。人工物で起こりがちな異物反応や露出に悩まされることが少なく、時間が経つほど自然になじんでいきます。

崩れた土台からでも、作り直せる

肋軟骨はしっかりした支えになります。初めての方はもちろん、他院の手術で土台が崩れてしまった鼻でも、自分の組織で一から作り直せます。

正面から見た鼻筋まで、整えられる

軟骨を細かくしたUDCを使うと、こまかな凹凸やカーブまで合わせられます。横顔だけでなく、正面から見たときの鼻筋の通りまで整えられます。

ただし、鼻とは別に軟骨を採る負担があり、いいことばかりではありません。自家組織とプロテーゼのどちらが向くかは、皮膚の厚みやこれまでの手術も見ながら、診察で見極めます。

自家組織隆鼻術とは

主にご自身の肋軟骨や耳介軟骨を使って、鼻筋に必要な高さと形をつくります。 人工物を入れたくない方や、プロテーゼを抜いたあとに作り直したい方に向いています。

一方で、鼻とは別に軟骨を採る必要があり、採ったところにも傷あとや痛みが残ります。 移植した軟骨が吸収されたり、変形したりすることもあります。良い面だけでなく、採取部の負担やリスクまでお話ししたうえで、術式を一緒に決めていきます。

細かくした自家軟骨を使う隆鼻術については、いくつもの臨床報告があります。 ただし、その結果がすべての患者様の経過を約束するわけではありません。[1]

自家組織隆鼻術の症例

砕いた肋軟骨で、鼻筋から鼻先までを整えた症例です。3か月後と6か月後の経過もあわせて載せています。

術後6か月

他院の手術後を、砕いた肋軟骨で整え直す

施術
砕片肋軟骨による隆鼻術
併用施術
鼻中隔延長・鼻尖形成・耳介軟骨移植
経過
術後3か月・6か月
担当医
鉄 鑠

主なリスク:腫れ、内出血、感染、左右差、輪郭不整、移植軟骨の吸収・変形・位置のずれ、採取部の傷あと・痛みなど。 費用は組み合わせる施術により異なります。

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術後3か月

男性の鼻整形と中顔面の立体化

施術前後

鼻筋から鼻先まで整えた症例

施術前後

正面と横顔のバランスを整えた症例

他院修正

プロテーゼから自家組織へ入れ替えた症例

※患者様の同意を得て掲載しています。効果・経過には個人差があります。主なリスクは腫れ、内出血、感染、左右差、輪郭不整、 移植軟骨の吸収・変形・位置のずれ、採取部の傷あと・痛みなどです。費用は組み合わせる施術により異なります。

当院で行うUDC複合移植

当院では、肋軟骨をごく細かく砕いたUDC(超微細破砕軟骨)を使います。 PRPゲルなど自分の血液からとった成分と組み合わせ、筋膜や軟骨膜で包んでから移植します。どの材料をどう使うかは、鼻の状態や希望する形に合わせて決めます。

  1. 01

    軟骨を採って、細かく砕く

    採った肋軟骨を細かく砕き、鼻筋の形に合わせて調整しやすくします。

  2. 02

    必要な高さと幅を決める

    診察で決めた高さ・幅・カーブに合わせて、移植する軟骨の量と形を整えます。

  3. 03

    移植する組織にまとめる

    PRPゲルなど自分の血液からとった成分と合わせ、必要に応じて筋膜や軟骨膜で包みます。

  4. 04

    鼻筋に移植する

    鼻骨の骨膜の下など適切な位置に移植し、正面と横顔の両方から形を確かめます。

関連する臨床研究

超微細にした軟骨と筋膜を用いた53例の報告や、細片軟骨にPRFを組み合わせた40例の無作為化比較試験があります。 ただし、PRFは当院で用いるPRPと同一ではなく、報告された術式も当院の方法と完全には一致しません。 関連する基礎資料として参照しています。[2][3]

自家組織とシリコンプロテーゼの違い

どちらかが一方的に優れている、というものではありません。希望する形や、これまでの手術、採取部の負担を踏まえて選びます。

自家組織

肋軟骨・耳介軟骨など

メリット

  • 人工物を体に残さないので、異物反応や露出の心配が少ない
  • 万一感染や露出が起きても、自分の組織で立て直しやすい
  • こまかな凹凸やカーブに合わせて成形でき、正面の鼻筋まで整えられる
  • 支えがしっかりしていて、初回でも他院修正でも土台から作れる

留意点

  • 鼻とは別に軟骨を採るため、胸や耳に傷が残る
  • 採ったところに痛みや傷あと、合併症が出ることがある
  • 移植した軟骨が、吸収されたり変形したりすることがある
  • 手術時間が長く、仕上がりが術者の腕に左右されやすい

シリコンプロテーゼ

医療用シリコン(人工物)

メリット

  • 軟骨を採らないぶん、体への負担が軽い
  • 決まった高さや形をつくりやすい
  • 手術時間が短めで済む
  • 抜けば元に戻しやすい

留意点

  • 感染や露出が起きると、立て直しが難しい
  • 輪郭が浮いたり、位置がずれたりすることがある
  • 皮膚が薄いと、境目が目立ちやすい
  • 年月や被膜拘縮で、見え方が変わることがある
比較自家組織シリコンプロテーゼ
材料ご自身の肋軟骨・耳介軟骨など医療用シリコン
形のつくり方軟骨を調整し、鼻に合わせて成形既製品または加工したプロテーゼを使用
主な利点人工物を避けられ、細かな凹凸に合わせやすい採取部がなく、一定の形と高さをつくりやすい
主な負担軟骨採取部の傷あと・痛み・合併症の可能性輪郭の目立ち、位置ずれ、感染、露出などの可能性
形の変化吸収・変形・輪郭不整の可能性被膜や加齢変化に伴い見え方が変わる可能性

自家軟骨とシリコンを比較した系統的レビューもありますが、術式や対象患者が研究ごとに異なります。[5]

手術前に確認していただきたいリスク

  • 腫れ、内出血、痛み、感染、出血
  • 左右差、段差、輪郭の不整、希望した高さとの差
  • 移植軟骨の吸収・変形・位置のずれ
  • 採取部の傷あと、痛み、しびれ、胸郭の変形など
  • 修正手術が必要になる可能性

肋軟骨を用いた鼻形成術のメタ解析では、変形、吸収、感染、輪郭不整、再手術、採取部の瘢痕などが報告されています。 数値は研究全体の集計であり、個々の患者様の確率ではありません。[4]

臨床で見えてきたことを、専門誌にまとめています

術式の工夫だけでなく、どんな方に向くか、合併症、術後の変化まで振り返り、日々の診療と発信に活かしています。

自家組織隆鼻術

500

当院実績
2026年8月時点

2026年5月、医学専門誌に執筆

「外鼻形成マスタークラス」(PEPARS No.233)

「自家組織で“美しく強い鼻”をつくる―隆鼻術における自家組織の歴史的発展と、 当院でのUDC複合移植の最新技術―」を鉄 鑠らが執筆しました。

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診療で大切にしていること

症例数だけで、適応を決めない

皮膚の厚み、これまでの手術、必要な軟骨の量、採取部への負担は、一人ひとり違います。 診察と画像を見ながら、自家組織以外の選択肢も含めて考えます。

施術を行う執刀医

診察では、鼻だけでなく顔全体のバランスを確認します

希望する高さや形を伺いながら、皮膚の厚み、鼻骨や軟骨の状態、これまでの手術歴を確かめます。 そのうえで、自家組織が向くのか、どの組織をどれくらい使うのかを判断します。 プロテーゼなど別の方法が向く場合は、その理由もあわせてお伝えします。

よくあるご質問

自家組織とシリコンプロテーゼは、どちらがよいですか?

どちらかが一方的に優れている、ということはありません。希望する高さ、皮膚の厚み、これまでの手術歴、採取部の負担を踏まえて選びます。診察では、両方の良い点と気をつけたい点をお伝えします。

移植した軟骨は吸収されませんか?

吸収や形の変化が起きることはあります。その程度には個人差があり、材料や移植の方法、組織の状態にも左右されます。『必ず残る』『半永久的』というご説明はしていません。

軟骨はどこから採りますか?

必要な量や、同時に行う施術によって、肋軟骨や耳介軟骨などから選びます。採ったところにも傷あとや合併症の可能性があるので、鼻だけでなく採取部のことも前もってご確認いただきます。

入っているプロテーゼを抜いて、同時に自家組織へ変えられますか?

同時に行える場合もありますが、感染や皮膚の状態、被膜、鼻骨・軟骨の変形によっては、段階を分けたほうがよいこともあります。CTや診察の所見をもとに判断します。

ダウンタイムはどのくらいですか?

移植する範囲や同時に行う施術、軟骨を採る場所によって変わります。固定の期間や抜糸、仕事に戻れる目安は、術式が決まってから一人ひとりにご案内します。

まずは診察で、ご希望をお聞かせください

自家組織にするかどうか、まだ決まっていなくて大丈夫です。当院ではCTと診察で鼻の状態を確かめ、 自家組織とプロテーゼの違いや、必要な施術、軟骨を採る負担まで、具体的にお話しします。

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参考文献

  1. Outcomes of Diced Cartilage Dorsal Augmentation in Dorsal Aesthetic Deformities. 2024.
  2. Asian rhinoplasty using a thin rib cartilage graft and ultrafine diced cartilage wrapped in fascia: A comparative study between septal cartilage graft and rib cartilage graft. 2023.
  3. Effect of Injectable Platelet-Rich Fibrin on Diced Cartilage's Viability in Rhinoplasty. 2019.
  4. Complications Associated with Autologous Costal Cartilage Used in Rhinoplasty: An Updated Meta-Analysis. 2023.
  5. A systematic review and meta-analysis of the efficacy and complication rates of augmentation rhinoplasty with autologous cartilage and silicone prosthesis. 2022.

医療情報は2026年8月時点。診断・適応・経過には個人差があります。