幹細胞治療で肌はどこまで変わる?期待できることと、まだ分からないこと

美容の幹細胞治療は、主に自分の脂肪からとった細胞や、その細胞が出す成分を肌に使い、ハリやうるおいの改善をねらう治療です。肌の厚みやうるおいが増したという報告はある一方、効果と安全性を確かめた質の高い研究はまだ少ないのが現状です。

美容の幹細胞治療は、主に自分の脂肪からとった細胞や、その細胞が出す成分を肌に使い、ハリやうるおいの改善をねらう治療です[1][2]。肌の厚みやうるおいが増したという報告はある一方、効果と安全性を確かめた質の高い研究はまだ少ないのが現状です[1][3][4]。細胞そのものを使うのか、培養液やエクソソームを使うのかでも、分かっていることは変わります[5][6]。

幹細胞治療では、何を肌に入れるの?

美容でよく使われるのは、自分の脂肪からとった細胞です[1]。脂肪は、幹細胞(いろいろな細胞のもとになる細胞)をいちばん多く含む場所として知られています[7]。

院内で培養せずに使う場合、とり出したものには幹細胞だけでなく、ほかの多くの細胞も混ざっています[1]。細胞そのものではなく、細胞を育てた液(培養液)や、細胞が出す小さな粒(エクソソーム)を使う治療もあります[2][5]。

肌には、何が期待できる?

脂肪由来の幹細胞を肌に注入すると、肌の厚みや見た目、うるおいが改善したという報告があります[1]。幹細胞は、成長因子(細胞の働きを助ける物質)や、炎症をおさえる物質を出すと考えられています[1]。

培養液やエクソソームについては、19の研究・624人をまとめた報告があります[2]。そこでは、肌の弾力が27.07%上がった、しわが10%以上減ったといった結果が出ていました[2]。

ただ、塗る、細い針で穴をあけて入れる、レーザーと組み合わせるなど、使い方は研究ごとにばらばらでした[2]。数字をそのまま比べられない点には気をつけましょう。

ニキビ跡や薄毛にも使える?

ニキビ跡では、炭酸ガスレーザーのあとにエクソソームのジェルを使った25人の研究があります[5]。顔の半分ずつで比べると、ニキビ跡の点数は32.5%減り、使わなかった側の19.9%を上回りました[5]。

エクソソームを使った側は、赤みが軽く、回復も早かったと報告されています[5]。薄毛では、脂肪由来の幹細胞やその成分で毛の再生をうながす研究が進んでいますが、まだ可能性が示されている段階です[8]。

どこが限界?まだ分かっていないこと

いちばんの課題は、効果と安全性を確かめた質の高い研究がまだ少ないことです[3][4]。アメリカの形成外科の学会は2011年に、美容での幹細胞治療について、安全性と効果を判断する科学的な根拠はとても限られているとの声明を出しています[3]。

脂肪由来の幹細胞を調べた82の臨床試験をまとめた報告でも、1つの試験の人数は真ん中の値で40人でした[4]。細胞のとり方や保存のしかたが試験ごとに違い、長く経過を追った研究も少ないと指摘されています[4]。

注入した細胞がどれだけ生き残るかも、結果を左右する大きな課題です[1]。結果は年齢など多くの条件で変わり、仕上がりを予測しにくい点も教科書で指摘されています[1][7]。

細胞を使うか、成分を使うかで何が違う?

細胞そのものを使う治療には、細胞が定着しにくい、腫瘍ができるおそれ、品質の管理が難しいといった課題が挙げられています[5]。エクソソームは細胞を含まないため、こうした細胞治療のリスクを避けられると考えられています[5]。

一方で、エクソソームにも、つくり方や精製のしかたがそろっていない、長い目で見た影響が分かっていないといった課題があります[6]。培養液やエクソソームの研究では大きな副作用は報告されず、一時的な赤みなどが見られた程度でしたが、長期の安全性はさらに研究が必要です[2]。

受けるかどうか、診察で何を確かめる?

幹細胞治療は肌の悩みに対する選択肢の1つですが、効果の大きさや続く期間を約束できる段階ではありません[3][4]。まずは自分の悩みに対して、ほかの治療と比べてどんな位置づけになるかを聞いてみましょう。

診察では、使うのが細胞そのものか、培養液やエクソソームか、どんな研究にもとづく治療かを確認しておくと、ほかの治療と比べやすくなります。

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