ボツリヌス製剤注射は、表情を作る筋肉の動きを一時的に弱めて、眉間や目尻など動きでできるしわを目立ちにくくする注射です[1]。筋肉の動きは注射から5〜15日ほどで止まり、効果は4〜6か月ほど続くと説明されています[1]。効果はずっと続くものではなく、まぶたが下がるなどの副作用もあります。
どんなしわに効く?
笑ったり眉をひそめたりするときにできる、表情じわが得意です。研究で多く調べられているのは、眉間、目尻、おでこのしわです[1]。
眉間のしわについては、注射から4週の時点でしわが減ったことが、多くの比較試験で確かめられています[1]。日本美容外科学会の指針でも、表情じわへの治療として強く勧められています[2]。
効き始めと持ちは、どのくらい?
効き始めは数日後から、持ちは数か月が目安です。教科書では、効果は3〜10日で現れ、3〜6か月続くのが一般的とされています[3]。
効き方には個人差があります。肌の質、年齢、性別、もともとのしわの深さなどが結果に影響すると考えられています[4]。同じ量でも、持ちに差が出ることがあります。
苦手なのは、どんなこと?
効果は一時的で、続けたいなら繰り返し注射することになります[1][3]。ただ、何度も繰り返したときの長い目で見た効果や副作用は、まだ十分に調べられていません[1]。
場所によって難しさも違います。下まぶたは皮膚が薄く、たるみや目の下のふくらみ、ものが二重に見えるといったトラブルが起こりやすいため、上級の技術とみなされています[5]。
副作用では、何に気をつける?
一番知っておきたいのは、まぶたが下がることです。研究のまとめでは、注射によってまぶたが下がる危険がおそらく高まると報告されています[1]。
眉の形が思った通りにならないこともあります。顔のつくりには個人差があるため、決まった打ち方では眉の形が読みにくく、眉やまぶたが下がることもあると指摘されています[6]。打つ場所を自分の顔に合わせて決めてもらうことが大切です[6]。
製剤によって、違いはある?
あります。製剤ごとに量の決め方が違い、ある製剤の「単位」を別の製剤の単位にそのまま置きかえることはできません[7]。
主な製剤どうしを直接比べた研究は、まだ足りないと指摘されています[1]。どの製剤を何単位使うのかは、遠慮せずに聞いてかまいません。
自分に合うかは、診察で何を確かめる?
まず、気になるしわが表情で動くしわかどうかです。次に、眉やまぶたの位置、これまでに注射を受けた経験を伝えましょう[6]。
どこに、どの製剤を、どれくらい打つかは、記事だけでは決められません。診察で表情を動かしながら顔を見てもらい、効き始めと持ちの目安を確認してください。
- 1Camargo CP, Xia J, Costa CS, Gemperli R, Tatini MD, Bulsara M, Riera R. Botulinum toxin type A for facial wrinkles. Cochrane Database of Systematic Reviews. 2021. doi:10.1002/14651858.CD011301.pub2
- 2日本美容外科学会会報 特別号(第44巻 Supplement). CQ2-4 顔面の表情シワに対するボツリヌス菌毒素製剤による治療(推奨度1・強く推奨).
- 3Grabb and Smith's Plastic Surgery. Chapter 48 Botulinum Toxin(ボツリヌス毒素の効果は注射から3〜10日で現れ、3〜6か月続くのが一般的)
- 4Glogau RG, Kane MAC, Beddingfield FC, et al. OnabotulinumtoxinA: A Meta-Analysis of Duration of Effect in the Treatment of Glabellar Lines. Dermatologic Surgery. 2012. doi:10.1111/j.1524-4725.2012.02582.x
- 5Zhou S, Liu H, Pan Z, et al. Observation of Safety and Efficacy of Botulinum Toxin Type A in the Treatment of Tear Troughs and Mild Eyelid Bags. Journal of Cosmetic Dermatology. 2025. doi:10.1111/jocd.70253
- 6Angelo-Khattar M. A Novel OnabotulinumtoxinA Treatment Technique to Obtain Predictable Outcomes in Eyebrow Position and Shape. Clinical, Cosmetic and Investigational Dermatology. 2020. doi:10.2147/CCID.S275841
- 7Carruthers J, Carruthers A, Blitzer A, Eadie N, Brin MF. Treatment of glabellar lines with Botox (onabotulinumtoxinA): Development, insights, and impact. Medicine. 2023. doi:10.1097/MD.0000000000032375